
TrueNAS Scaleのススメ 〜余っているPCで始める社内DX〜
以前、開発用に使っていたマシンを放置していたのですが、このたび有効活用のためにTrueNASを導入し、サーバーを構築しました。TrueNASは、元々はファイルサーバー用途を中心としたOSですが、内部にKubernetesを備え、プラグイン形式でさまざまな機能を追加できます。そのため、単なるストレージではなく、汎用的な社内サーバーとして活用可能です。
TrueNASとは?
TrueNASは、NAS(Network Attached Storage)を構築するためのDebian Linuxベースのオープンソースソフトウェアです。
NASとは、ネットワーク(社内LANやWi-Fiルーター等)に接続し、同一ネットワーク上のPCや端末からアクセスできる外部ストレージのことです。
中小企業であれば、「社内の従業員が共通で利用できるファイル保存場所」として利用できます。部署間のデータ共有やバックアップにも適しています。
なぜファイルサーバーを設置するのか?
• 容量不足を解消
社員が利用しているPCの容量が足りなくなった場合、外付けHDDやSSDを追加購入する代わりに、ネットワーク経由で容量を拡張できます。
• 複数人でのファイル共有
部署やチーム内でのデータ共有、共同編集に利用できます。アクセス権限を設定すれば、セキュリティ面も確保できます。
• コスト削減
クラウドストレージを利用する場合、長期的には月額費用が積み重なります。TrueNASなら自社で運用できるため、条件によってはクラウドよりも安価に済むことがあります。
※ただし、停電対策やバックアップ、保守の手間は考慮が必要です。
導入方法
TrueNASには以下の2種類があります。
• Community Edition(無料):コミュニティによるサポートのみ。
• Enterprise Edition(有償):開発元iXsystemsによる公式サポート付き。
導入手順(概要)は以下の通りです。
- 公式サイトからOSをダウンロード
- USBメモリにOSを書き込み(Rufusなどのツールを利用)
- 導入するPCにUSBを差し込み、UEFI/BIOSでブートドライブをUSBに設定
- インストールウィザードに沿ってセットアップ
細かい設定方法は公式ドキュメントや他の解説記事が豊富にあります。需要があれば、別記事で設定手順を詳しく解説します。
TrueNASのメリット
TrueNASの大きな特徴は、プラグイン機能による拡張性です。
代表的な活用例は以下の通りです。
- メディアサーバー:Plex、Jellyfinなどを導入して動画・音楽配信
- ネットワーク管理:Pi-holeによる広告ブロックやDNS管理
- クラウド代替:NextCloudを導入して自社専用クラウドを構築
これらのサービスはTrueNAS上に直接インストールでき、保存したファイルとスムーズに連携できます。
DX化の一歩として
「DX化したいけれど、何から始めればよいか分からない」という声をよく耳にします。実際、日本の中小企業の約7割はまだ十分にITを活用できていないと言われています。
TrueNASは、古いPCや余っているマシンさえあれば試せる手軽なソリューションです。最低でもメモリ8GB以上、ストレージ容量数百GBあれば、社内で実験的に導入可能です。週末の数時間を使えば構築できるため、DX化の最初の一歩として最適です。
これを機に、社内のIT環境を一歩前進させてみてはいかがでしょうか?