
Excelの限界と、アプリ導入のベストタイミングとは?
Excelは優れたツール、でも万能ではない
いろいろな企業とお話をしていると、「業務は今もExcelで管理しています」と耳にすることがよくあります。しかし同時に、それが課題になっているという声も多く聞かれます。
Excelは柔軟で、多くの業務で活用できる非常に優秀なツールです。しかし、会社の成長や人員の増加に伴って、Excelだけでは対応しきれない課題が見えてくるのも事実です。
Excelを使うべき業務とは?
Excelやスプレッドシートのようなスタイルのツールには、Microsoft Excelだけでなく、Google Sheets、LibreOffice、AppleのNumbersなど、さまざまな選択肢があります。
基本的な操作感や互換性は高く、どの製品を使っても、基本的な機能に関してはほぼ同じ感覚で利用できます。
当初、Excelのようなスプレッドシートはデータの作成・計算・分析を簡単かつ効率的に行うために作られました。そのため、以下のような業務には今でも非常に適しています。
- 一人で完結する業務(見積もり、予算管理など)
- 数値の仮説検証やシミュレーション
- 頻繁に構造が変わる一時的な資料作成
- 手動で最終チェックを行いたい業務
しかし、複数人で共有し始めたとたん、予期しないトラブルが起きやすくなります
Excelが限界になるタイミングと課題
実際の現場では、一人で使うよりも複数人で共有しながら使うケースが多いと思います。
立場の異なる人や、Excelの操作に慣れていない人が自由にデータを変更できる場合、業務に混乱をきたすリスクが高まります。そういったタイミングでこそ、Excelから新しいアプリに移行することを検討するべきです。
よく見られるExcelの課題は以下の通りです
1. 複数人で同時に使うことで、上書きミスが発生する
2. ファイルの最新版がわからなくなる(バージョン管理の問題)
3. データ整合性がとれていない(重複・入力ミス)
4. マクロや関数がブラックボックス化して属人化する
5. UIが使いづらく、新人がすぐに使えない
6. 外部アプリとの連携ができず、手作業が増える
7. 権限管理が弱く、情報漏洩リスクがある
これらの課題は、Excelを使い続ける時間が長くなるほど顕在化する傾向があります
アプリに移行する判断のための3ステップ
ステップ1:業務の棚卸し
まずは、どの業務をExcelで行っているかを洗い出しましょう。
頻度・関与人数・重要性を基準に整理すると、移行すべき業務の優先度が見えてきます。
ステップ2:属人性が高いものを特定
「○○さんしかこのExcelを使えない」という状態は危険信号です。
標準化できる業務は、アプリ化の優先対象になります。
ステップ3:共有・自動化が必要な業務を先にアプリ化
例:案件進捗管理、在庫管理、営業報告、発注管理など。
入力ミスや確認漏れが致命的になる業務ほど、アプリ化の優先順位は高くなります。
この3ステップを踏むことで、アプリ移行の優先順位付けや、適したツールの選定がしやすくなります。
自社でできるアプリ化:ノーコード・自動化ツールを活用しよう
以下のようなノーコード/ローコードツールを使えば、開発会社にいきなり依頼しなくても、自社内で業務改善の第一歩を踏み出すことができます。
ツール | 特徴 | 向いている業務 | 費用感 |
Google App Script | Googleスプレッドシートと連携して、簡単なWebアプリが作れる | 社内ツール、フォーム、通知 | 無料(Google Workspace内) |
Airtable | 見た目はExcelでも、リレーションやフォームが使える | 顧客管理、案件管理 | 無料〜有料($20〜) |
Glide | Excel・Airtableベースでスマホアプリを作成できる | 営業・業務管理 | 無料〜有料(月$25〜) |
n8n | 各種ツールを連携、自動化ワークフローを構築 | 通知連携、データ転送 | 無料〜有料 |
これらのツールは、Excel的な操作感を維持しつつ、より安全で効率的な業務フローを構築することができます。
たとえばGoogle App Scriptを使えば、Google Spreadsheetと連携したWebアプリケーションを構築可能です。これにより、新しい従業員の学習コストを抑えながら、業務の継続性と正確性を高めることができます。
まとめ:Excelは出発点、アプリは成長の加速装置
Excelは今でも非常に便利なツールですが、チームでの運用や自動化が必要になると限界が見えてきます。
最初はExcel、次にノーコードツール、そして必要に応じて本格的な業務アプリへと移行していくことで、無駄なく・効率的に業務の進化を進めることが可能です。
もし今、「このままExcelで本当にいいのか?」と感じているなら、それはアプリ化を検討するベストなタイミングかもしれません。