
Strapiを使って感じた4つのメリットと注意点|Headless CMSによるAPI駆動型開発の可能性
はじめてStrapiを触ってみた感想と考察
Headless CMSがもたらすAPI駆動開発の新しい形
週末に、以前から気になっていたHeadless CMS「Strapi」を使って簡単なWebアプリを構築してみました。この記事では、実際に触ってみて感じたStrapiの優れた点と導入時に注意すべきポイントについて解説します。
良かった点
1. UIによるデータ構造設計がシンプルで分かりやすい
Strapiは、管理画面上からノーコードでデータ構造(コンテンツタイプ)を作成・管理できます。たとえば、ブログ記事であれば「タイトル」「本文」「カテゴリ」「画像」などをクリック操作だけで定義できます。
他のHeadless CMS(Contentful、Sanityなど)も同様の機能を提供していますが、Strapiは特にUI設計がシンプルで、視覚的に構造を把握しやすいと感じました。
2. REST / GraphQL エンドポイントが自動生成される
最大の特徴は、データ構造を作成するだけでAPIエンドポイントが自動生成されることです。
従来は、バックエンドでルーティングを定義し、コントローラーを書き、DB接続まで実装する必要がありました。しかしStrapiでは、こうした作業を一切省略できます。
これにより、従来の三層構造(フロントエンド・バックエンド・DB)から、二層構造(フロントエンド+Strapi)でアプリケーション開発が可能になり、開発スピードが飛躍的に向上します。
3. 構造化データとバイナリデータの統合管理が可能
Strapiは、テキスト・数値・日時などの構造化データだけでなく、画像やPDFなどのメディアファイルも管理画面から簡単に扱えます。WordPressでは、キャプチャ画像やカテゴリ、タグなどデフォルトフィールドはそのままRESTから取得可能でしたが、その他のフィールドでは「Advanced Custom Fields(ACF)」のようなプラグインを用いて構造化データを拡張する必要がありました。また、値をそのまま取得できることは非常に扱いやすいです。
4. 豊富なプラグインで拡張性が高い
Strapiは、管理画面からプラグインの追加が可能で、以下のような機能を簡単に拡張できます。
- GraphQL対応
- Cloudinary連携(画像最適化)
- Sentry連携(エラーログ収集)
- ロール・パーミッション管理
- 国際化(i18n)
これにより、独自実装することなく高度な機能を実現できる可能性が広がります。ただし、プラグインごとに学習コストは発生するため、導入前に検証をおすすめします。
導入にあたって注意すべき2つのポイント
1. SEO対策はフロントエンド側で実装が必要
StrapiはHeadless CMSのため、SEOに必要なHTML構造を自動で生成してくれるわけではありません。Next.js、Nuxt、Astroなどの静的サイトジェネレーター(SSG)と組み合わせて構築し、タイトルタグやOGP、構造化データなどを自前で実装する必要があります。
これはHeadless CMS全体に共通する特徴であり、Strapi固有の欠点ではありません。
2. フロントエンド開発の知識が求められる
Strapiは「CMS」ではありますが、WordPressのようにフロントエンド込みで提供されていないため、API経由で取得したデータを使ってページを描画する処理を別途実装する必要があります。
そのため、最低限のフロントエンド開発経験(React/Vue/HTML/CSS)が求められる点には注意が必要です。
ただし、最近では生成AIやテンプレート化されたSSGの普及により、非エンジニアでもある程度の構築が可能な時代になってきました。今後はより多くのノーコード/ローコードツールがStrapiと連携していくことが期待されます。
まとめ
項目 | 評価・概要 |
---|---|
UIによるスキーマ設計 | ◎ 直感的で使いやすい |
API自動生成 | ◎ フロントエンドからすぐに利用可能 |
バイナリ含むデータ管理 | ○ 一元的に扱えて便利 |
プラグインの拡張性 | ○ 機能追加がしやすい |
SEO対応 | △ 自前実装が必要 |
非エンジニアの利用 | △ フロントエンド知識が必要だが今後に期待 |
Strapiは、API中心のWeb開発を大きく効率化する強力なツールです。フロントエンド開発に少し慣れている方であれば、数時間でプロトタイプが完成するほどの生産性があり、コンテンツ中心のサービスや管理画面系アプリケーションに特に適しています。逆に、この投稿でも記載しましたが、フロントエンドやSEOなど手間をかけずにWebサイトを立ち上げる必要がある場合は、Wordpressはいまだに良い選択肢だと思います。
今後の展望
今後は、StrapiとSSG(Astro, Next.jsなど)を組み合わせたSEO最適化、Cloudinaryとの画像連携、構造化データの導入など、実案件への応用を進めていきたいと考えています。