
2025年: 日本のソフトウェアエンジニア不足の現状
埼玉県経営者協会 第1回会員企業等異業種交流会より
2025年7月28日に開催された「埼玉県経営者協会 第1回会員企業等異業種交流会」にて、弊社の事業紹介をさせていただきました。
当日は、日本のソフトウェアエンジニアの現状や、業務効率化に関するちょっとしたTipsなどを共有させていただきました。本記事では、その中でも特に関心が高かった「日本のソフトウェアエンジニア不足」や「中小企業のDX推進」に関する現状をまとめます。
日本のソフトウェアエンジニアの現状
日本の労働人口は現在約6,838万人。そのうち、IT人材は約144万人とされています(出典:IPA『IT人材白書2023』)。これは労働人口全体の約2.1%にあたります。
一方、日本には約500万社の企業が存在するとされており、この数に対してIT人材の数が圧倒的に不足していることがわかります。全企業にIT人材、ソフトウェアエンジニアを1人ずつ配置することは現実的ではありません。
さらに、IT企業は複数名のエンジニアを抱えているケースが多いため、非IT企業、特に中小企業では社内にIT担当者がいないことが一般的です。結果として、外部からの支援なしにDXや業務改善を進めることは困難な状況が続いています。
中小企業のIT導入の実態
2024年版『中小企業白書』によると、IT導入の進捗状況は以下のように分類されています:
- 全く導入していない:30.8%
- メールなどの電子ツールを導入:35.4%
- デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる:26.9%
- デジタル化によるビジネスモデルの変革を行っている:6.9%

このように、60%以上の企業が「業務効率化」にすら至っていないのが現状です。中小企業白書では、DXが進んでいる企業の共通点として、
- 経営者がDX推進に強い意志を持っている
- 社内に推進を担う人材や部署がある
といった要素が挙げられています。裏を返せば、経営者の関心や組織体制が整っていない企業では、DXが停滞しているということになります。
IT人材の平均給与
e-Stat(政府統計ポータル)に掲載された『賃金構造基本統計調査(2023年)』によれば、ITエンジニアの平均給与は約558万円です(正社員かつフルタイムのデータに基づく)。
これは全産業の平均よりも高く、また新卒や未経験ではなく、中堅以上のスキルを持ったIT人材を確保するには、さらに高い水準の給与が必要になるのが一般的です。
このように、コスト面から見ても中小企業にとっては人材確保が大きな課題となっていることがわかります。
中小企業がDXを進めるには
上記の状況を踏まえると、中小企業が今後DXを進めていくためには、次の2つのアプローチしかないと考えられます。
1. 自社内でIT人材を育成する
長期的視点で考えると、既存社員の中からITに強い人材を育てることが最も堅実な道です。業務内容を熟知した人材がITスキルを身につけることで、現場にフィットしたシステム導入や改善が可能になります。
2. 外部パートナーに委託する
短期的な改善を目指す場合や、そもそも人材の確保が難しい場合には、外部のITパートナーと連携するのが現実的です。信頼できるパートナーと継続的に協力しながら、段階的にデジタル化を進めていく体制を整えることが求められます。
おわりに
日本全体でソフトウェアエンジニアが不足するなか、特に中小企業はその影響を強く受けています。「人がいないからできない」ではなく、「どうすれば進められるか」を考える姿勢が求められています。
自社で人材を育成するのか、それとも信頼できる外部パートナーと連携して進めるのか。いずれにしても、今このタイミングで何かしら一歩を踏み出すことが、今後の企業競争力に大きく影響してくるはずです。