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中小企業のDX現状把握:DX Criteriaを活用したセルフチェック

中小企業のDX現状把握:DX Criteriaを活用したセルフチェック

2025年10月5日 | Project Management, 経営

弊社では、企業の業務改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進支援を行っています。

その中で、経営層や従業員のソフトウェア開発の理解度に対する現状把握するため、これまで数多くのヒアリングを実施してきました。その経験から、一般社団法人CTO協会が提供する「DX Criteria」が非常に有用だと感じています。

この記事では、DX Criteriaの概要と、経営者・IT部門それぞれの立場でどのように活用すべきかを紹介します

はじめに:なぜ現状把握が必要なのか

以前、IT人材の人口動向についての記事でも触れましたが、日本のIT人材不足は10年以上前から指摘され続けており、今もなお需要と供給が追いついていません。

外部のITベンダーに継続的に依頼できる企業はごく一部であり、多くの中小企業では「タイミング次第で支援が受けられない」という課題があります。つまり、たとえ一次産業や二次産業といった非IT企業であっても、自社でデータ分析や業務効率化を進める「内製力」が求められる時代です。

そのため弊社では、DX推進に向けた伴走支援を行う前に、まず「自社の現状を把握するためのアンケート」を実施いただいています。

必要に応じて、社内のIT教育支援も行い、最終的には自走できる体制づくりを目指しています。ただし、業種・規模の異なる企業ごとにヒアリング方法を変えてしまうと、分析結果の一貫性が保てません。そこで有効だったのが、CTO協会が公開している「DX Criteria」です。

このアンケートを活用することで、業種を問わず同一の基準で現状を可視化できます。

経営者向けDX自己診断

🔗 DX Criteria(経営者向け)

このページでは、経営層向けに10項目の設問が用意されています。

内容としては、DXの目的設定、人材確保、組織体制、推進方針など、経営レベルでのDX戦略を確認するものです。

DXを進めるには、単に「ツールを導入する」だけでなく、

  • DX人材を社内に確保・育成できるか
  • 柔軟な働き方を許容できるか
  • ソフトウェア開発に対して十分なリソースを割けるか

といった組織的な準備が不可欠です。経営者の方はこのアンケートを活用することで、DX推進の方向性を整理し、将来的に採用・育成すべき人材像を明確にできます。

IT部門・開発担当者向けDX現状分析

🔗 DX Criteria(IT部門向け)

こちらは、企業のIT部門・開発チームの現状を可視化するためのアンケートです。開発環境、業務プロセス、チーム体制、エンジニアの待遇などを多角的に確認できます。

特に注目したいのは、「エンジニアと非エンジニアの業務認識の差」です。

ソフトウェア開発やデータ分析は、成果が物理的に見えづらいため、他職種からその重要性が軽視されがちです。このアンケートを通じて、企業全体がエンジニア業務をどのように理解しているかを把握することで、離職率の低下や業務効率の改善につながるヒントが得られるでしょう。

まとめ

DX Criteriaのアンケートは、エンジニア視点で設計されているため、業種によっては一部質問が合わないケースもあります。

しかし、それは「現状の体制や考え方が、世間のDX基準とどの程度乖離しているか」を知るチャンスでもあります。すぐに全項目を実践できなくても構いません。

まずは経営者・IT部門のページから、自社の立ち位置を確認するだけでも大きな一歩です。

業務効率化やDX推進が叫ばれて久しい今、「うちはどの段階にいるのか?」を客観的に把握することこそ、最初のDXの一歩です。

ぜひ、DX Criteriaを活用して、自社の現状を見つめ直してみてください。

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